代表取締役社長兼CEO・時津×新社外取締役対談~さらに強い組織へ 成長の条件とは~<第2弾-社内対談編->

インタビュー

左より
新社外取締役 納富貞嘉氏(株式会社Fusic 代表取締役社長)
株式会社ホープ 代表取締役社長兼CEO 時津孝康
新社外取締役 田口一成氏(株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役社長)
2018年10月10日実施

 

前回の株主総会の続きという形で、新社外取締役両氏についてより知っていただきたいというのと、2人から見たホープの現状や問題点などを言語化したいという思いからこの場を企画しました。

 

求められるスピード感、「自走する組織」のために~共に描くホープの未来~

 

 

時津:本日はよろしくお願いいたします。

 

納富:ちょうど今朝、朝礼の時間を利用してホープの全社員を対象に勉強会を行ったのですが、改めて真面目な会社だなと思いました。というのも、ワンフロアにあれだけの人数(約190名近く)がいて、有志だけの勉強会ならまだしも、熱い視線をガンガン感じて、改めてそう思いましたね。

 

時津:勉強会という場を非常に大切に考えており、色々と企画しています。社員が成長する場、おもしろいと思える場、そういう機会を継続して提供していきたいといつも思っています。

 

田口:ボーダレスでも成長機会の提供を行っており、「イベント採用」がその1つです。先日、ボーダレスの各グループの社長が集まり、どのようにすれば「自走型人材」になれるかを考えました。「自分がやりたいことがはっきりしている」かつ「自己肯定できている」ことが条件であるという結論に至ったのですが、「イベント採用」を行うことで採用はもちろん、自分たちの仕事を対外的に発表することになるため自己肯定に繋がり、「自走型人材」として成長出来る場として機能すると考えています。

 

-多種多様な採用で、会社を拡大

時津:その「イベント採用」は具体的にどのような内容で実施しているのですか?

 

田口:例えば、「大手企業からベンチャー企業に転職して良かったか?悪かったか?」などのテーマを決め、ボーダレスの社員とテーマに関心のあるイベント参加者で議論をするという企画になります。一度の「イベント採用」につき、3~4人はボーダレスの社員として採用したいという人材が参加してくれます。入社する・しないは別として、参加者の事業への理解、共感度が高いです。イベントの企画次第で集められる人が違ってくるのもメリットですし、今後ホープでも取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

時津:採用における課題でもありますが、就職サイトなどにコストをかけて採用するという画一的なスタイルになってしまっているので参考になります。

 

田口:それに、こちらからの情報発信に対してある程度コンタクトがとれる人、元々関心の的が近いところにいる人の方が、入社後の定着率が高いと思います。

 

納富:ちなみに、自治体から転職してくる人は多いのでしょうか?

 

時津:絶対数としては少ないですが、優秀なメンバーとして現在活躍してくれています。

 

納富:田口さんの話を聞いて思ったのですが、「イベント採用」に公務員の人が来てくれたら、仮に転職しなくてもホープのファンになってくれますよね。結果的に先々の契約に繋がるといった展開もあるかと思います。

 

時津:なるほど、さっそく人事担当と相談してみます。「元公務員と現公務員と私が話す」といったテーマ設定も良いかもしれませんね。

 

-一丁目、一番地になるための組織デザイン

時津:何を今さらと言われるかもしれませんが、最近ミドル層の育成に関して大きな気づきがありました。今までは上場に向かって戦略を進めてきていましたが、そもそも私が作り上げてきた組織は人が育ちにくい組織設計であることに気づいたのです。

例えば、来期あたりから各エリアの支社長みたいなもの作ってみるのはどうかなど色々な構想を立てています。それによって利益改善以上に、人が育つ可能性を感じます。前述の勉強会と考え方は一緒で、社員みんながハッピーになる、視点が広がる、結果的に自走してくれる組織になるのではといった点でワクワクしています。

 

納富:実際に(各エリア支社長づくり)取り組むのですか?

 

時津:あくまでジャストアイデアですが、田口さん流というか、ボーダレス流で、小さく(細分化した単位で)P/L(損益)を見ることができるというのは非常に良いことだと思います。社内で先ほどの支社長を量産していければ、いつか子会社ができた際にスムーズに展開できるのではないかなど、ここ数ヶ月で組織デザインに関する意識が高まってきました。

 

田口:ステージが変わったということですね。時津さんが引き上げたからこその上場であり、ここから役割が変わっていくのです。放っておいても成長していく組織に変える、という意味でも第二創業期だと思います。ここからは私の希望になってしまうのですが、「福岡市担当チーム」など、自治体ごとのチームを作ってはどうでしょう。福岡市はこうあったらいいなと市長と話せるぐらいの関係性の中で、ホープが存在していたら非常に良いですよね。各チームのヘッド同士が自治体の在り方、目標としては市長(首長)の相談役になれるぐらいを目指す。「福岡市の担当」として相談を受ける役割をホープが担えれば良いなと思います。

 

時津:当社は「自治体に特化したサービス会社」を目指しているので、本来はそうあるべきなのですが、乖離しているのが現状です。「自治体が困った時はまずホープへ相談」「自治体のお助け隊になりたい」が理想ですので、時間がかかるかもしれないが修正していきたいですね。

納富:他にも自治体に関する情報収集をしたり、統計を取ったりして、シンクタンクになるといったやり方もあるかと思います。そうなれば非常に魅力的ですよね。

 

田口:そうですね。ホープ主催でフォーラムを実施し、首長を集めて、どうあるべきかオーガナイズしていくといったような。

 

時津:その展開こそ、正に一丁目一番地ですね。そうなりたくて上場した経緯もあります。

 

田口:今後は、そこにどういう順番でたどり着きたいか?ということになりますね。

 

-新社外取締役から見た経営陣の姿

時津:今、最も社長としての能力を問われている気がしています。現経営陣だけだと適切な問題提起や良質な質問がマンネリ化し視点が狭まる危険性があるため、2人へ社外取締役就任を依頼した経緯もありますね。

田口:役員の方と面談をする中で、このスピード感はさすがベンチャーだなと思う出来事がありました。社外取締役である自分は、業務執行はできませんが、提案に対しての動きの速さ、嬉しかったですね。何を言っても動かない人もいる中、正解かどうかはわからないけどまず動く、役員陣たちのこの姿勢には期待できるなと思いました。

 

時津:今の話を聞いて、正直ありがたいなと思いますね。問題提起に対して初動をどういったスピード感で対応するのかということが特別な能力のない普通の人には重要になってくると思っています。それが私たちのような凡人の価値であり、そこが失われるとベンチャー企業ではなくなると思っています。

 

田口:「凡人あつめて非凡をなす。」ですね。優秀な人のみを選抜して採用するというのも1つの方法ではありますが、凡人が泥臭くやっていくことに夢があるし、人生を振り返った時に思い出に残るやり方だと思うのです。「よくもがいたなぁ」みたいな方が、人生としては味があると思います。

時津:現在、経営陣も危機感を持って色々動いているところではありますが、7月に新設した部署の部長を務める人材がこのタイミングで入社(昨年秋)してきたことも意味があるなと思いますね。新しい部長の能力もあり、定量・定性両軸の課題発見、解決策を講じることが出来ているので現状の課題は乗り越えられるのではと思っています。

 

納富:そのような活躍人材に、1年後は経営会議で自らのアイデアや意見を活発に主張して欲しいという気持ちはありますね。「社長は反対するけど、責任を取るのでやらせてください」といったような。現在の経営会議ではそういった感じは見受けられないのですが、今後に期待しています。

 

時津:以前、経営会議で「管理主義」というようなワードが出てきていたと思うのですが、組織作りはさておき、対人コミュニケーションでは常にフェアでありたいと考えているので、傾聴の姿勢は心がけています。もし管理主義のせいで、部下がイエスマンになって経営会議で活発な意見交換が出来ていない要因になっているとすれば、成長機会の提供も出来ていないことにもなり、非常に問題だと思いますね。

 

田口:「管理主義」ではなく、「管理型組織」になっていたのだと思います。時津さんは本質的にはその考え方が嫌いだから方向転換が可能でしょうし、意図せずそうなっていたら変えられると思います。取締役のメンバーである、森さん(取締役COO 森新平)や大島さん(取締役CFO 大島研介)が時津さんに対してフラットに意見を話せる環境なのはすごいなと思いますよ!

 

納富:森さん、大島さんが時津さんに自らのアイデアや意見を主張することが出来ないといった雰囲気は感じないですね。大島さんの鋭い指摘と、ビジョンの話を出すあたりはとても良いなと…非常に大切な存在ですね。

 

田口:それで言うと森さんは懐刀であり、言うなれば切込み隊長ですね。時津さんと森さんは似ているタイプだと思うのですが、そこで大島さんが「なんか違うんですよね…」と突っ込むことで良いバランスを保っているんだと思います。取締役の3人は、ホープのV字回復から伸びていくためのすごくいいフォーメーションだと思います。

 

時津:私は森と大島のことが大好きで、食事の誘いを断られると地味に傷つくほどです(笑)。約10年一緒に仕事をしており、もちろんトラブルを起こしたこともあれば、感情が出てきたこともあります。でも年輪のように、一生懸命紡いできた何かは財産だと思っています。

 

-事業拡大にあたり経営者として感じた壁

時津:話は変わりますが、「経営者として壁を感じたこと」を象徴的な出来事があればそれも踏まえて聞いてみたいです。

 

田口:自分で事業を立ち上げ続けてきたこともあり、特攻隊長でありたい、事業の現場にいたいというのが私の本質でありますね。しかし、これからはボーダレスグループを背負っていくために、役割分担上現場に入れないつらさはありますね。常に全体の中で自分の配置・役割を考えているので、葛藤は常にありますよ。言葉を選ばずに言えば事業の現場に戻りたいというのはあります。

 

納富:明確な壁というほどではないですが、会社の数字をマネージャーやリーダーに任せだした時は過渡期だったと思います。ここ2~3年ですね。前述の各エリアの支社長制度ではないけど、彼らが意識して成長し始めました。数字を任せる不安や、文化的にどうなんだという葛藤はありましたが、結果的に正しい判断だったと思います。

 

-社外取締役から見た経営者としての現在の時津とは

田口:今は変革期というか、成長期というか…思春期みたいなものでしょうか。変わるタイミングであることを強く感じます。いい意味でぶれている、ぶらしているというか、振ってみている感覚がわかります。時津さんは、「強いリーダーシップのもとトップダウン型」が当初の印象でした。しかし、実際に経営会議に参加して感じた印象は、皆に任せてパスをしているというものですね。今後、時津リーダーシップ、時津流はどこに行くのかなという感じで期待を持って見ています。

 

時津:思春期ですか。色々変わる時期ですので、その表現は嬉しいです。創業期はそのようなスタイルだったが、第二創業期に一番に変わるべきは、現場でなくて自分だと思っています。そこを切り取ってもらっているのは純粋に嬉しいですね。

 

納富:ズバリ「社長っぽい」と思います。自分との比較でしか話ができないのですが、例えるなら私はキャプテン型。一方時津さんは監督型で、チームに入っているわけでなく、導いていく役割です。経営会議でも全体を俯瞰して見ていて最後に意見を述べたり、客観的に中立的な意見を言うあたりがそうですね。私は感情に寄せたことを言ってしまう時もあり、良く働くこともそうでないこともあります。時津さんは、一定の距離を保っており、思い描く社長っぽい社長といったイメージです。

 

時津:「社長っぽい」というのは良く言われますね。田口さんは「特攻隊長型」、納富さんは「キャプテン型」ですかね。それぞれ非常にイメージが沸きます。客観的に自分を知ることを非常に大切にしておりますので、2人の私のイメージ像は参考になりました。社長像は十人十色だと思いますが、自分らしい像を確立していければと思います。また、社外取締役に就任してここ数ヶ月で積極的に多くの問題提起をいただけていることを非常に嬉しく、心強く感じているところです。私も含め三者三様の相違をより良く活かし、「自治体のベストパートナー」となるべく、共に奮闘を続けてまいりましょう。