2019年6月期決算説明会要旨
イベント概要
[企業名] | 株式会社ホープ |
[イベント種類] | 決算説明会 |
[イベント名] | 2019年6月期 決算説明会 |
[決算期] | 2019年度 通期 |
[日程] | 2019年9月4日 |
[ページ数] | 41 |
[時間] | 15:30-16:14 |
(合計:44分、登壇:36分、質疑応答:8分) | |
[開催場所] | 103-0026 東京都中央区日本橋兜町3-3 兜町平和ビル2階 第2セミナールーム (日本証券アナリスト協会主催) |
[出席人数] | 30名 |
[登壇者] | 2名 代表取締役社長兼CEO 時津 孝康(以下、時津) 取締役CFO 大島 研介(以下、大島) |
登壇
司会:定刻となりましたので、ただ今から株式会社ホープ様の2019年6月期決算説明会を開催いたします。
最初に、同社からお迎えしております、お二方をご紹介申し上げます。代表取締役社長 兼CEO、時津孝康様。
時津:本日はよろしくお願いします。
司会:取締役CFO、大島研介様。
大島:本日はよろしくお願いいたします。
司会:本日は、ただ今ご紹介申し上げました、お二方からご説明をいただきます。ご説明いただいた後、質疑応答の時間を取らせていただきます。
なお、皆様のお手元の資料の中にアンケート用紙が入っていると思います。こちらにつきましてはお手隙のときにご記入いただきますよう、お願いいたします。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
時津:あらためまして、本日は皆さん、お忙しい中、当社の決算説明会にお越しいただいて、誠にありがとうございます。
今日は私とCFOの大島でプレゼンテーションをさせていただきます。前半は私の方から、当社のことをご存じない方も多いと思いますので、私どものビジネスモデル、事業内容をご説明差し上げます。続いて、大島の方から前期の具体的な数字に関してプレゼンをさせていただきます。そして、最後に私の方から、今期の私たちが見えている数字を説明し、私がどういう思いで会社を経営して、どういう会社になりたいのかという、今日は三つの軸で皆さんにお話をさせていただきます。
それでは、早速開始したいと思います。あらためて、私どもの企業理念は「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」でど真ん中にある考え方でございます。ここに通ずるものを事業としてどんどんつくっていくのが、私たちが考えているやり方になります。
続いて、会社概要になります。従業員としては、今、6月末日時点で192名。自治体に特化したサービス業という位置付けでやっております。
続いて、飛びまして6ページ目です。事業内容に関してです。今回から、私どもは事業内容、セグメントを三つに切らせていただいています。一つは創業事業である、広告事業です。この事業をもってして2016年、マザーズに上場いたしました。その後、投資を重ねてつくり上げたのがメディア事業、エネルギー事業になっております。
少しだけかみ砕いてこの内容をご説明差し上げます。創業事業である広告事業というのは、自治体が保有しております公共の広報紙のスペース、ホームページ上のバナー広告のスペース、公務員の方々の給料明細のスペースを当社が買い取って、それを地元の企業さんに販売をする、いわゆる広告代理業に近しいものです。自治体に特化した広告代理店的なニュアンスでやっておりました。
続いて、8ページ目です。SMART CREATIONサービス。私どもは「マチレット」と呼んでおります。これは完全に自社メディアとお考えいただいて結構です。官公庁が発行する、非常に専門性の高い冊子がございます。例えば子育て冊子、空き家のオーナーに配られる空き家の冊子、介護の冊子、エンディングノート、婚姻届を出すタイミングで配られる婚姻のノートとか、そういったものの中に広告を入れます。自治体は無料でこれを私どもから寄贈を受ける。ただし、私たちはその中に15%ないし20%の広告を入れて収益を上げていくモデルになります。
前段のスペースを買い取って売るSMARTRESOURCEサービスが、おおむね30%から35%の粗利率だと想定するならば、このマチレットというサービスに関しましては、おおむねそれの倍近い粗利率があるとお考えいただいて結構かなと思います。
今申し上げた二つをもってして、東証マザーズに2016年に上場いたしました。
続いて、9ページ目になります。ジチタイワークスというサービスになります。これを私どもはセグメント上メディア事業と位置付けております。全国1,788の自治体の職員の人たちに、私たちは定期的にこのジチタイワークスという公務員に特化したフリーペーパーを郵送して届けております。
発行部数としては大体7万部になります。全役所の全課に全て郵送しております。圧倒的なリーチ力があることで、自治体の職員の人たちの成功事例や、新たな動きを、このジチタイワークスの中にぎゅっと凝縮をして全国の自治体に配ります。
この意図ですが、公務員の人たちは非常に縦型の組織で、他の自治体の成功事例はなかなかシェアされない、共有されないところに私どもは目を付けまして、ジチタイワークスを投下することで隣町や、同じ県の○○市がこういうやり方でインバウンドのプロモーションをやっているんだ、こういうやり方で介護保険の要介護の人たちにアプローチをかけているんだ、という先進的な動きをまとめて共有するテキストブックのような位置付けになります。
これに付随しまして、メディア事業の中でB to Gマーケティングというサービスを行っております。これは、ジチタイワークスに広告を出してくれるお客様がいて、大体1社当たり100万から150万ぐらいの平均単価になるんですが、同時にこのB to Gマーケティングも私たちは販売しております。広告を出して終わりではなくて、出した広告のクライアント様の要望に従って、全国の自治体をいくつかピックアップして、そこに、その後テレマーケティングというか、電話でアプローチをかけて営業代行を行っております。今回のジチタイワークスの中のこの広告、観光インバウンドの特集はどう思われましたか、と観光協会に電話をかけたりなど、その後の見込みのお客様たちを、この広告を出してくれたクライアント様に送客をすることをやっております。
ジチタイワークスに出してくれたお客様には、このB to Gマーケティングもセットで販売をしておりますので、こちらのほうにも非常に高い確率でお客様がサービスを買っていただけます。
前年度ですと、大体15から20ぐらいの契約を、こちらのB to Gマーケティングで取っております。非常に労働集約型ですけれども、非常に粗利率の高いサービスになっております。
続いて、メディア事業の中の三つ目ですが、マチイロというサービスと、自治体クリップです。これは相変わらずまだ投資フェーズになります。マチイロに関しましては全国844の自治体と契約を結んでおります。広報紙の情報や、行政情報がアプリを通じてプッシュで市民の人たちに通達される仕組みになっております。
ダウンロード数としましては前期末現在で43万ぐらいのダウンロードです。基本的にここにプロモーションでお金をかけておりませんので、オーガニックに市民の人たちがダウンロードしてくれます。
2年か3年ぐらいやり続けている事業にはなるんですけど、まだ引っ張れるだけ引っ張ろうと。ここは課金が始まると、ほぼサブスクのモデルになるので、行政からお金を取ることを非常に大事に考えておりますが、もう少し1,000自治体ぐらいまで乗っかってきて、そこから行政等々から一定の金額をいただければと思っております。以上がメディア事業の大きな特徴になります。
続いて、最後はエネルギー事業です。これはGENEWATというサービス名で全国の自治体にサービスを投下しております。そんなに難しいサービスではありません。自治体が保有しております病院や学校、市庁舎、下水処理場とか、さまざまな公共施設がありますので、そこに特化した形で私たちの電気を卸していくサービスになります。
もちろん競合としましては、九州だと九州電力、中部だと中部電力、そういった大手の企業様と戦いながら、私たちが自治体に電気を供給していくことをやっております。
以上の三つが私どもの売上のほぼ100%を構成するサービスのセグメントになります。前期もこのサービスで売上をつくっておりました。今期に関しましても、全く同様でこの3サービス以外は原則何もやる気がございません。この3サービスを全て黒字化に持っていくのが今期のテーマの一つになりますので、頭に入れていただければなと思います。
続いて、13ページ目以降に関しましては具体的な数字、前期の数字になります。決算ハイライトになりますので、CFOの大島のほうからご説明させていただきます。
大島:それでは、前期2019年6月期の決算ハイライトについて、私の方からご説明申し上げます。着座で失礼いたします。
14ページをご確認ください。まず、決算サマリーです。2019年6月期の全社的な業績については、売上高が前年比で70.2%増の38億6,200万。営業利益については8,700万で、前年から2億を超える改善となり、V字回復を果たしました。
各事業に関して、まず広告事業ですが、生産性の向上等が進み、セグメント利益は増加いたしました。売上高で申し上げますと、前年比6%増の23億4,700万。セグメント利益は15%近く改善いたしまして、2億8,400万。
続いて、メディア事業ですが、こちらについて売上高は倍増いたしまして、セグメント利益もプラスに転換しております。売上高で申し上げますと、1億300万。セグメント利益は600万となっております。
エネルギー事業については売上増をけん引した事業でございますが、併せて利益創出にも寄与をしております。売上高で申し上げますと14億1,100万。セグメント利益は9,400万となっております。
なお、エネルギー事業については2018年の第4四半期から損益の計上が開始となっているので、前年比較は載せておりません。
続いて、15ページです。こちらについては、半期と四半期ごとの売上高および営業利益の計画対比のグラフになっております。特に下期、もっと言うと第4四半期、こちらの売上および営業利益が計画に対して大幅に上振れて着地をしたところでございます。大体第4四半期だけを捉えると10億超売上高で計画よりも上振れたと。営業利益でいくと1.3億ぐらい上振れた形になっております。
続いて、16ページです。こちらは表形式で計画対比および前年対比で業績を表示しております。当初計画が左のほうにございます。そこと対比でいくと、売上高で30.6%増という形になっております。営業利益についても1.2億近い上振れとなっております。
続いて、17ページです。こちらは四半期ごとの売上高推移になっております。事業ごとに細分化して資料のほうには掲載しております。第4四半期だけを捉えると、大体134%ほど、前年同四半期から上振れた形になっております。
その中で広告事業だけ、緑のところですが、第4四半期だけを比較すると、若干ボリュームダウンで。こちらの詳細は38ページにございますので、お時間があるときにお目通しいただければと思います。
続いて、18ページです。営業利益の増減分析になっております。2018年6月期の営業利益がマイナス1.2億。2019年6月期が8,700万で、その増減要因を売上高、売上原価、販管費の増減で分解しております。
まず、売上高の増加は15億9,200万でしたが、その内訳としては広告事業で1.3億、メディア事業で5,500万、エネルギー事業で14億という内訳でございます。
続いて、売上原価については13億1,200万増加いたしました。この内訳としては、広告事業で5,300万、メディア事業で1,400万、エネルギー事業で12億4,400万増加した形になっております。
販管費の増加は7,100万でございました。その内訳が、人件費が8,700万増加した一方で、その他の経費については1,600万ほど縮減することができました。
最後に19ページがB/Sになります。ここでハイライト化しているのが2点ございまして、まず、棚卸資産です。2018年6月末時点で8億9,600万ほどあったものが、前期末時点で6億2,900万と、2億6,700万ボリュームダウンしております。
この棚卸資産に計上されているものが、創業事業である広告事業のうち、SMART RESOURCEサービスです。最初に時津からご説明申し上げたサービスの、末日以降の将来の広告枠を棚卸資産という形でB/Sにオンバランスしております。
ここの左に書いてある通り、広告事業は、今後は規模適正化を図っていくところがここにも表れているかなという形になっております。
一方で貸方サイドです。借入金の勘定がだいぶ増えておりまして、短期借入金で2億。1年内の長借および長借で、合わせて1.4億ぐらいプラスになっている状況でございます。こちらは、今、運転資金の水準がだいぶ上がっておりますので、その辺の財務を、ファイナンスをしっかり手当てする必要があるところで、財務基盤を強化する一環として、まず長期借入金を増やすことおよび短期の運転資金を手当てするための当座貸越の枠等を拡充しております。
以上、私から2019年6月期の決算についてご説明申し上げました。
時津:最後に私から今期の見通しと成長戦略についてお話をさせていただきます。
とても重要なセクションになると思いますので、しっかり私も気持ちを込めて話をいたします。今期に関しましては、21ページです。売上に関しまして最低限114億はつくれると開示をしております。売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益に関しましては、大変申し訳ございませんが、非開示にさせていただいております。
続いて、22ページ目です。2008年からの売上の推移を出しております。経営者のタイプによると思うんですが、当期純利益、営業利益、経常利益をすごく重要視しているのはもちろん、私の経営者のタイプとして、やはりトップラインをどう伸ばしていくかはとても重要なことだと、今もなお考えております。トップライン・売上がないと、営業利益も経常もつくれないと考えております。一貫してここでお伝えしたいのは2014年の決算期変更を除いて、私どもは会社の売上、トップラインを伸ばしてきたことです。
何度も言いますが、2020に関しまして、114億は最低ここだけは守れる数字という思いで開示をしております。
続いて、23ページ目です。これは散々開示するかどうか迷ったのですが、これはしたほうがいいだろうということで出しております。創業事業である広告事業に関しましては、後ほど細かい戦略をお伝えしますが、初めてトップラインとしては落ちます。前期は23億円でしたが、今期はおおむね20億と1割ほど落ちるのではなかろうかなと思っています。
ブルーで書いておりますのがエネルギーの売上です。ここが14億から最低でも93億の数字にはつくれるだろうと思っています。
最後、メディア事業に関しましては、前期1億円だったところを1.5億ぐらいまでは伸ばせるのではないかと思っています。
では、これら三つの事業を私どもがどういう位置付けで捉えているのかをお伝えいたします。全てを伸ばすよりも、一つ一つが会社にとって、ホープにとってどうあるべきなのかを考えております。
一つ、広告事業に関しましては、利益創出事業に向けて規模の適正化を図っております。創業からこの事業しかなかったホープと、今のホープはだいぶ違う会社になってきておりますので、ここでトップラインを伸ばす必要性がありません。ですので、ここに関しましては徹底的に営業利益にこだわった組織体制に大きく舵取りを変えております。
大体140億ぐらいしかない自治体広告市場の中において、20億近くマーケットを取っておりますので、占有率でいくと16%ぐらい来ております。これは結構上のところまで来ておりますので、トップラインを狙うのではなくて、営業利益をこの事業においては狙いにいくと、前期は急速に舵取りをしております。
続いて、メディア事業です。私どものクライアントは100%自治体になります。もしくは自治体の職員が私どものクライアントになります。その自治体職員の人たちが手に取りやすい情報の最上流という位置付けで、このジチタイワークスをメインに置いております。彼らが何か困ったとき、何か動きたいときに、まずは私どものメディア、私どもの会社を使ってもらいたいという、その情報の最上流を今は取りに行くために鋭意動いております。
ですので、別にこれは大して売上は伸びないわけではないんですけれども、営業利益を狙いにいくよりも、自治体の人たちにとって触れやすいところにポジションを取っていくことが必要であると考えております。
最後、エネルギー事業です。成長エンジンとして今期、もっというとこの2~3年は取引の拡大、収益性の安定化を目指していくフェーズに入っているのではなかろうかなと思います。この三つの事業の市場規模であるとか、どういう打ち手を取るのかは次のページ以降でご説明差し上げますので、いったん据え置かせてください。
最後です。人的資源の最適化です。IPOをして2億近い、額としてはそんなに大きな額の調達はしておりませんが、それを徹底的に優秀な人を採りたいということで、人を採用し続けてきました。初めて、私は経営をして人を採ることをやらないと決めました。今あるリソースで、この3事業であれば十分戦えると、十分営業利益を出せる体質に変えるのが、今のホープが取るべき戦略であろうと私自身が大きな腹落ちをしておりますので、ここで書いてあるとおり、経営資源であるヒトの再配分であり、新たに入れるのではなくて、今いる人たちの最適化を図るフェーズに入っているのではないかと考えております。
次に25ページ目です。左側から行きますと、メディア事業に関しましては、もう1から10の、まだまだ本当に赤ちゃんの、ヒヨコの状態でございます。世の中でいくと導入フェーズでございますので、トップラインが落ちることはないとは思うんですが、少しずつ今は認知を図っている状況です。
エネルギー事業に関しましては、圧倒的な成長フェーズになると思っています。恐らく数百億までは伸ばせる自信があります。これは伸ばせるうちに徹底的に伸ばしていくということです。
最後の広告事業は、明らかな成熟フェーズに入っております。これでトップラインを狙うのではなくて、いかに営業利益、残存者利益を取りに行くかというフェーズに入っているのではなかろうかなと考えております。
続いて、26ページ目です。営業利益の推移です。今回、非開示にしておりますので、何ともコメントがしづらいのですが、決算期変更の2014年がマイナス3,200、5,600、1億4,500、この曲線を持って上場しました。その翌年が2,300万です。その翌年、前々期ですけどマイナス1億2,000万出して、前期が8,700万の営業利益でした。会社のフェーズとしてはチャレンジは終わったと思っています。種の仕込みはいったん終わったので、これをどう、いかに開花されるかというフェーズに入ってきております。基本的には完全なる黒字化フェーズで、収益化フェーズとお考えいただいて結構ではないかと思っております。
続いて、27ページ以降は私たちが社内で使っているというか、マーケットのシェアの考え方になります。釈迦に説法になりますが、広告市場は大体6兆円あると言われています。その中で自治体広告市場は大体140億ぐらいしかないんじゃないかなと私たちは考えております。
その中において、もう22億近く前期は取っておりますので、シェア率でいいますと16%です。これはもう結構な飽和状態というか、16%もシェアを押さえるとなってくると、ここからさらにシェアを求めるのは、あまり無意味なのではないかなと考えております。
28ページ目において、じゃあ、具体的に何を追うのかですが、私たちは広告を売っており、上場したときの一媒体当たりの粗利率が大体51万円でした。それが、人をひたすら入れ続けて、マーケットの拡大とシェアを取り続けたが故に、2019に至っては30万円まで一媒体当たりの粗利が落ちました。これは致し方がないと、私の大きな戦略のミスだったのかもしれませんが、そこまで落ちていきました。
ですので、2020に関しましては、一媒体当たりの粗利を50万から55万ぐらいまで戻す計画を持っております。つまり、収益率の低い媒体は根こそぎ取りません。NPOではありませんので、自治体の人たちには本当に大変申し訳ないという言い方をしておりますが、私たちの粗利に寄与するものの優先順位が高いものを取りに行くと2020からは考えております。故に、若干トップラインが減っております。
もっと言うと、マチレットという1,000冊近い私たちの冊子を作っておりましたが、収益率で下のほうから粗利が取れないもの、もしくは赤字のものに関しましては200媒体以上契約を継続しないと考えております。これが広告事業の考え方で、そうしないと営業利益が出ないと考えています。
続いて、メディア事業に関してです。これはすごく色んな考え方があるんですが、自治体の官公需の需要の規模が大体13兆円あると言われています。これは橋を造るとか、道路を造るところは、私たちは何も関与できませんので、その9兆円、10兆円ぐらいは抜いております。それ以外のBPO市場であるとか、印刷であるとか、ペンを買うであるとか、コピー用紙を納品するであるとか、さまざまな自治体に役務を提供するマーケットは、大体13兆円あると言われています。
そのうちの1%が、大体その契約を取るのに広告宣伝費として使われる市場なのではなかろうかという類推です。それが大体1,300億円ぐらいマーケットがあると私どもらは見ております。これは潜在的なマーケットの見方です。そのうちの前期、大体1億円ぐらいが取れました。地方創生でアプリの会社やウェブの会社とかが何か行政と仕事をしたいということで、私たちと契約をしてくれたのが、大体1億円ぐらいあります。これを私たちの潜在市場というか、私たちのメディア事業が見ているマーケットになります。
続いて、30ページです。情報の最上流という位置付けは、これはやっぱりミソでございます。自治体の人たちは常に情報を求めていて、常に上から落ちてくる予算を最適なところに発注しないといけないサイクルがあります。この上流にジチタイワークスがいるのは非常に強みがあるのではないかと思っております。
自治体には社会課題があり、また民間活用のニーズが今は顕著に出てきております。そこに対して、どこに最適な会社があるんだろう、どういう会社と他の自治体は組んでいるんだろうという文脈で、私たちはその真ん中におります。ですので、ジチタイワークスのブランド力を上げていったりとか、先ほど言ったB to Gのマーケティングをやったりということで間に入っていければと思っています。
ただ、1,300億あるというマーケットは潜在的なものも含めてですので、今のジチタイワークスとB to Gマーケティングというビジネスモデルだけで掘り起こせるマーケットは、恐らく非常に限られていると見ております。
ただ、そのB to Gマーケティングやジチタイワークスだけではなくて、他のサービスを拡充していく将来構想、未来構想もありますので、それらをはめると非常に面白いことになるのではないかなというのが、このメディア事業の特色になります。
31ページ目になります。エネルギー事業に関してです。成長エンジンとして規模の拡大を今は図っております。これも釈迦に説法になるんですが、日本のエネルギー市場は15兆円あります。
この15兆円のうち、私たちが戦っている市場は、自治体電力市場と切り取っており、大体1兆円ぐらいあります。その1兆円の中で、私たちは今泳がせていただいております。
2019年、去年の6月末日までで私たちが受注した金額が73億円です。契約を取っても、供給開始が10月以降、来年の1月以降になってくるので、計算がややこしいんですけれども、1兆円あるマーケットで今は戦っているのを認識していただければと思っております。
32ページ目です。これが、非常に私たちの競争力の源泉の一つです。去年、エネルギー市場で私たちが経産省のライセンスを取ってサービスインをしていったときに、入札に入ることができた案件が約1,200件なんですよ。もともと4,500件ぐらいの入札が上がるだろうなとデータ上は見ていたんですけど、そのうちの約1,200件しか私たちが入ることができませんでした。それは自治体と契約をする、仕事をするという、いろんな参入障壁があったが故に、私たちは約1,200件しか入ることができませんでした。
自治体と仕事をしたことがない人たちが、この業界にぱっと入ったときには、多分これは100件か200件ぐらいしか取引はできなかったと思います。私たちは14~15年、ひたすら行政と仕事をやり続けてきたが故に、約1,200件入ることができたんです。なぜ私はこの2年、3年ぐらいは伸ばせますよと言えるかというとマーケットが1年経ったら3,500件に広がりました。恐らく今年のマーケット規模は4,500件とあまり変わらない。若干そこは5%とか増えているかもしれませんけど。入札に入ることができる件数が約1,200件から3,500件ぐらいまで増えます。これは、めちゃくちゃ大きいんじゃないかなと思っております。約1,200件のうちで勝率が何%かあって、前期14億の数字をつくっておりますけど、仮に3,500件入札に入ったときに同じ勝率で取れると、とんでもない数字が積み上がっていきますので、ここは非常に特徴的かなと思っております。
では、なんで3,500件に増えたのかというと、これも同じです。先ほどから申し上げているとおり、私たちは1,700なにがしの自治体と十何年契約をし続けてきて、ひたすらに自治体との業者登録を行っております。ジチタイワークスの中に、このGENEWATの広告を一部打ったりして、自治体の人たちに入札に呼んでもらえるように私たちのほうから意図的に仕掛けております。ですので、これは3,500件まで伸びる読みを立てております。これは大きいのではないかなと思います。
続いて、33ページ目です。人のところになります。2018、169名、2019の期が終わった瞬間で162名です。2020は、7月1日の時点で入れているので、ほぼ同数になるんですけど、この162名を最適な組織にアサインをすることを、今期は重要視しております。広告事業に至っては、ピーク時は144名関与をしていた事業ですが、今は119名です。オーガニックに、大体離職率が7%ぐらい、私どもの会社はありますので、110名とか、109名とかぐらいまでシュリンクしていく、人間は減っていくのではないかと思っています。ただ、別にいいんです、減っても。それで営業利益が出るのであれば、この広告事業としてはBCGいわく、金のなる木として最適なところまで人が減るのは許容したいなと思っています。
じゃあ、人が減って全員辞めているのかというと、ここで行政営業であるとか、クライアント営業で培って、ひたすらに育ててきた人間をメディア事業ならびにエネルギー事業のところに動かしております。エネルギー事業に至っては、メディア事業もそうなんですが、ほぼエースというか、広告事業からすると抜かれたら困るような人間を、この事業部に配属、動かしております。そうすることで、当社の最大の経営資源である、ヒトの再配分を非常に重視しながら意図的に行っております。
34ページ目です。自治体という、この領域に特化をして2005年に私が会社をつくりました。2016年に上場して、そのときは広告事業しかありませんでした。ただ、その広告事業で徹底的に行政の中に入り込んだ業者登録であるとか、ノウハウであるとか、知見があります。それを今、メディア事業ないしエネルギー事業に横展開を図っております。他社からすると難しいことなのかもしれませんが、私どもからすると、非常に当たり前のように粛々と横に展開をしていっております。これが、今私たちがやろうとしていることです。
今期は別にM&Aをするつもりもないですし、増資する予定も全くありませんので、この事業を今期に至っては徹底的に伸ばしていくことで社会に価値を提供できるような、まさに自治体に特化したサービス会社になりたいなと私どもは考えております。
35ページ目です。2016年に上場したときも、今もなおも四季報さんは自治体広告代理店と書かれるんですけど、私は広告には全く興味がございません。ビジネスモデルの一つだと言い続けておりますので、日本で唯一自治体に特化した会社になりたい、自治体商社になりたい、というのが、私がこの会社をつくった思いであります。それが名実ともに少しずつではありますが、広告の一本足打法から、メディア事業からエネルギー事業ということで、3本ぐらいの足になったのが前期でそれを名実ともに事実にしていくのが今期なのではないかなと思っておりますので、ぜひこれをご理解いただきたいなと思います。
もちろん、前期、前々期は1億2,000万ぐらい赤字をつくって、めちゃくちゃ苦しかったです。私どもは福岡にあるので、本当に言葉を選ばずに言うと、地銀さんが撤収していきました。お宅には金を貸せませんということで逃げられた。腹立ちましたけど、銀行が逃げるときにこんな思いをするんだ、上場企業にもなってと思いました。まあ、仕方がないと思います。赤字になったのは私の全責任であります。
ただ、それがやっと自治体向けの広告代理店で終わるのか、本当にこの会社を目指すのかということで、上場した直後に経営陣と話したときに、挑戦しましょうと、2億・3億あるなら、全部ぶっ込めばいいじゃないですかというのが私の考え方だったので、それを同意してくれた経営陣がいて、そこに向かって、ほとんどうまくいかないと言われる新規事業で、何とかメディアを当てて、何とかエネルギーが芽吹いて、それは別に外から人を引っ張ってきたわけではないですからね。福岡の地元出身の社員を集めて、この事業をやるぞということで、何とかこの事業をあてていった経緯があります。それは、ぜひ皆さんに知っていただきたいと思います。
恐らく200億、300億、400億ぐらいの会社になるでしょう。トップラインにおいてはその中で営業利益をどこまで出せるかは私のセンス、もっというと役員と執行役員、部長の力にもよるとは思うんです。自治体に特化したサービス会社に本当になりたいと思っております。そんなことを言っている会社はほとんどないと思いますので、それを実現したいなと思っています。
余談ですが、前期、3社M&Aのオファーが来ました。11億まで時価総額が落ちたときに、「時津君、意味ないじゃん。君のところ上がっている意味」と言われて、本当に腹立つなと思いながらも、でもそれが事実なんですよ。株価は私がコントロールできないんで、それが期待値だろうなと思っていました。売ろうなんて、みじんも思わなかったですよ、バリュエーションの問題ではなく私の意地の問題であって、この会社をつくるといって仲間集めをして、死ぬ気でやっているメンバーがいるのに、なんで私がイグジットで5億、6億、7億をもらってできるんだと。これを何としてでもやり遂げたいなという、あらためて思いと覚悟を持っておりますので、その辺を投資家の方々が拾っていただいたらとてもうれしいなと思っています。
最後に36ページ目です。生々しい話で恐縮ですが、この2年ぐらいは新規事業をやって、赤字になって、利益が出ないのは分かっていたので、私は機関投資家には1社も、会っておりません。IRに力を入れるフェーズではないと分かっていたので、上場会社として最低限やるべきことをやればいいじゃんと言って、予算も一切振っておりませんでした。
ただ、2020は明確に社内目標として50社以上の機関投資家と会うと決めています。先ほどもオファーをいただいたので、今日時点で8社のアポイントが確定しております。お会いした人もいます。流動している株はそんなにないのかもしれません、浮動株もそんなに多くはないのかもしれません。鎌倉投信のように私たちの理念やビジョンに共感をしてくれて、応援をしてくれる投資家がどこかにいるんじゃないかなと思っています。今期に関しましてはCOO、CFOならびにCEOの私も含めて機関投資家と50社以上会い、どこかに、何としても大量保有を1回ぐらいは出してほしいなと思っております。
とても生々しい話であれかもしれませんけど、私のプレゼンは以上で終わりたいと思います。ご静聴ありがとうございました。
司会:ありがとうございました。
質疑応答
司会:それでは、質疑応答に入ります。ご質問される方は挙手をお願いいたします。
なお、このIRミーティングは質疑応答部分も含め全文を書き起こして公開する予定です。従いまして、質問をされる際、会社名、氏名を名乗っていただいた場合はそのまま公開されます。もし匿名を希望される場合は、氏名は省略していただいて結構です。
それでは、どうぞよろしくお願いします。
キシ:エース証券のキシです。本日はありがとうございます。株価のほうも上場来高値を更新、おめでとうございます。
一つ、GENEWATについて今期のことを1点お聞きしたいんですけど。売上原価の変動が大きいのを前提に、今年度はご計画で利益のほうを出されていませんけれども、現状は売上原価というか、原価率ですか、何か大きく変動しそうな状況にあるのかということとですね。
それに追随して、普通単純に考えれば93億に売上が増えれば原価率の改善はしますよね。それとも、例えば93億ぐらいになると大手電力会社等々の競合が激しくなって、原価率が上がると。そういうのも考えられますけど。社長は今はどんなふうに見てらっしゃるか、それを教えていただけますか。
時津:社内で原価に関しては予測を常に立てております。そこよりはだいぶ安く原価をコントロールできているのは事実でございます。
93億でエネルギー業界で市民権を得られるかというと、100億、200億ぐらい売ってくると、いろんな会社様が電源のところで、相対で買いませんか、買いませんかというオファーをいただくのは事実ですので、スケールメリットがあるかないかというと、あると私は見ております。
キシ:ということは、基本的には原価率は良くなりますよと、その方向で見ていらっしゃることでよろしいですね。
時津:それは前年対比の話をされてらっしゃるでしょうか。
キシ:今後の流れとしましては、スケールメリットということであれば。原価率が一緒でも売上が増えれば利益が増えるわけですけどね。
時津:そうですね。いかにそこの原価を安定させるか。自分たちでコントロールしていくかは至上命題ですので、安くしようと努めております。思いとしては下がるのではないかなと考えています。
キシ:今、例えば大手との競合はあまり考えなくていいという状況なんですね。
時津:自治体電力市場において、大手との競合環境にあるのかという質問ですか。
キシ:あまりないと見てよろしいんですね。
時津:必ず入札には中部電力さん、北海道電力さんが来られますので、そことの戦いはこれまでも、これからも必ずしていかないといけないんだろうなとは思っております。
キシ:どうもありがとうございます。
時津:ありがとうございます。
司会:ありがとうございました。続いて、ご質問をどうぞ。
ヨネツ:ご説明ありがとうございました。電力のところでもうちょっと教えてほしいんですけど。御社の説明を聞くのは初めてなので教えてほしいですが。
今、電力の仕入れのところで原価を安定させるということで。自社電源をお持ちでないという理解なんですけれども。マーケットから買ってくるので、どのように具体的に今後原価を安定させることができるのかという、その辺をもうちょっと詳しく教えていただけないでしょうか。
時津:念のため、御社名とお名前だけ頂戴してよろしいですか。
ヨネツ:ブルーオーシャンキャピタルのヨネツと申します。
時津:ご質問いただいて、ありがとうございます。自家発電というか、自分たちで電源を持つことは今のところ全く考えておりません。費用対効果、投資のバランスが私たちの体力ではとても合わないなと思っておりますので。
基本的にどう安定させるかというと、一つはいかに相対電源を買うのかというところになるのかなと思っています。相対電源の比率とJPXの比率を私たちのほうでしっかり考えて、原価をコントロールしにいくしか今のところは考えておりません。
ヨネツ:ありがとうございました。
時津:ありがとうございます。
質問者:ありがとうございました。
ヤマダ:ジャパンエクイティリサーチ、ヤマダと申します。私も電力のところで、いくつか確認をさせていただきたいんですけど。
この31ページの73億円のところ。3のところで解説があるんですが、これが前期入札に参加し、142件落札されたのに値する金額、73億という、そういう理解でいいですか。
時津:それで合っています。前期受注をしたものの合計になります。
ヤマダ:そのうちの12億円が第4四半期にぼんと売上が立って、利益も出たという理解でいいですか。
時津:そうです。
ヤマダ:分かりました。電力卸で、この第4四半期の利益率はすごくいい利益率だと思うんですけれども、これは何か特殊要因があるのかどうかということと。
御社が入札に参加されるときの、当然推定見込み粗利益もしくはリターンを設定した上で参加されると思うんですけれども。その基準についてどんなスタンスでお考えなのかを教えてください。
時津:ご質問ありがとうございます。4Q、いわゆる4〜6とかに関しましては、このエネルギー業界の中においては基本的には利益が出やすいクォーターだと言われております。春と秋で一般的なPPSと言われる小売業者に関しては、春と秋で稼ぎ、夏と冬で溶かすという考え方です。
ですので、4Qの数字だけを見るとけたたましい。一番収益的においしい時期のところだけ計上してしまっているのは事実だと思います。
私たちが価格を取るときの想定粗利率に関しまして、一定のベンチマークは引いております。ただ、一切開示をしておりませんので、1Qの数字が出てきて、2Qの数字を見てきて、ある程度そこでご判断いただければなと思っております。申し訳ございません。
ヤマダ:分かりました。もう一度確認なんですけど、御社のエネルギー事業における競争力というか、他社と比べた際の強みは、自治体とのパイプが既にありますよ。入札に参加しやすい立場にいますよ。というところ以外には何か他にありますか。
時津:入札に呼んでもらえないと話にならず、そもそも、そこの選択肢に上げてもらえない業者が多数だと思うので、そこが私たちも競争力の、この事業においては一つポイントかなと思っています。
それ以外で別に地域電力を使っているとか、そういうこともやっておりませんので、それ以外はほとんどないとお考えいただいて結構だと思います。
司会:ありがとうございました。他にご質問をどうぞ。特にないようでございます。
念のため会社様から追加事項はございましたら、いかがですか。
時津:私どもはないと思います。
司会:分かりました。それでは、以上をもちまして本日の説明会は終了いたします。どうもありがとうございました。
[了]
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