<第32回株主総会トークセッション>「子会社社長として」

インタビュー

<第32回株主総会トークセッション>「子会社社長として」

2025年6月27日(金)に公益財団法人アクロス福岡 円形ホールにて「第32回定時株主総会」を開催いたしました。

株主総会終了後、株式会社ホープ取締役CFO大島研介、株式会社ホープ取締役COO 兼 株式会社ジチタイワークス代表取締役社長森新平、株式会社ジチタイリンク代表取締役社長(就任予定)松本銀士朗によるテーマ「子会社社長として」のトークセッションを行いましたので、その様子をレポートいたします。

<登壇者>
株式会社ホープ取締役CFO 大島研介
株式会社ホープ取締役COO 兼 株式会社ジチタイワークス代表取締役社長 森新平
株式会社ジチタイリンク代表取締役社長(就任予定) 松本銀士朗

以下、「大島」「森」「松本」と表記しております。

大島:取締役CFOの大島でございます。改めまして、よろしくお願いいたします。
「子会社社長として」というテーマを、今回設定させていただきました。
こういった形で3名、ホープCOO兼ジチタイワークス社長の森、それから7月1日に、ジチタイリンク社として会社の社長を務める予定となっております松本、そして今回、モデレーターを私が務めさせていただきたいと思います。

Q1 「それぞれのキャリアと転機」子会社社長として異なるフェーズにある二人の、それぞれのキャリアと転機

大島:まず1枚目。「それぞれのキャリアと転機」という風に題していますが、2人の自己紹介パネルと捉えていただければと思います。
森さんは、見てお分かりのとおり2008年からホープのキャリアとしては非常に長いものがございます。
松本さんは2017年入社ということです。自己紹介を兼ねてご説明をお願いします。
では、森さんからお願いします。

森:今ご紹介いただきました森と申します。2008年に新入社員の第1号、社員としても3番目の社員として入社しました。3人の会社でしたので、営業、仕入れ、人事、経理、封筒の折り込みなど、様々な業務に携わってきました。債権回収にもいきました。本当にあらゆる仕事を経験できたなと思っております。
2011年の11月に取締役になってから、その管掌領域を増やしたり減らしたりしながら、その後2017年にCOOになりました。その後2024年の4月に、ジチタイワークスの代表に就任したという経緯です。
正直、転機を感じたことはないんですけど、代表をやる意味みたいなものを感じたことは過去1回あります。今直接的にそれが実行できるかというと、なかなか難しいなとは思っているのですけど、この子会社のIPOみたいなものを、少し検討をしたことがあります。頭の中で、やはり、エネルギー事業のことがあって、キャッシュを持つ会社は強いなと思い、今ホープが大型のキャッシュを手に入れるにはどうしたらいいんだろうと考えた時に、ジチタイワークスをIPOさせるという方法論が1つありました。その時にやはり時津ではない誰かが代表をしないといけないということで、それは僕が適任なんじゃないのかなと思ったこと、それぐらいが、転機と言えば転機ですけど、それ以外にどうしても代表になりたいとか、そういった思いを掲げたことがなくて、その時にそう感じたのが、私の中では転機かなと考えております。

大島:はい、では続いて松本さんお願いします。

松本:はい。改めまして松本と申します。まず2017年に私は新卒で株式会社ホープに入社しました。2016年に上場しておりますので、上場後最初の新卒入社となります。
最初は広告事業のマネジメントを3年ほど経験しておりましたが、その後2020年7月から、時津直下の、事業開発、要は新規事業をつくる部署に異動しました。そこで、最初からこの企業版(ふるさと納税事業)をやったわけではなく、最初別のサービスをやったんですが、いくつかテストマーケをする中で、ちょっと駄目だなと、事業にならないなという形になったので、一旦それはもう撤退して、2021年10月から今の企業版ふるさと納税というのを開始したという背景になっております。
そして、2022年4月に、レベニュー事業という形になり、その後、2023年4月にレベニュー事業部になりました。先ほど、ご紹介の通り、来月の2025年7月から新会社「株式会社ジチタイリンク」を設立し、代表に就任するという予定になっております。
なので、転機で言うと「今」だと思っております。来月から、代表という形になります。正直、社内的にはあまりやることは変わりませんが、外部からの見られ方や、より結果を出す責任を強く感じています。

大島:このパネルを少し深掘りしたいと思います。
まず、森さんは元々2011年にホープの取締役、2017年にCOOになって、その後、親会社の役員だった立場から2024年に子会社の代表取締役になったわけですが、そのタイミングで視点や自分のスタンスなどにおいて変わったものなどがあれば、ぜひ教えてください。

森:私自身のスタンスの変化や対応すべきことの変化はほとんどなく、もともとジチタイワークス事業を管掌していましたので、意思決定自体は私がほとんど行っておりました。
もちろん稟議や取締役会の承認は必要でしたが、基本的に意思決定は僕がやらせていただいていたので、名と実を合わせたのが、2024年4月の代表就任かなと思っております。
唯一変化したことに関しては、社内におけるキャリア形成の意味で、新卒から子会社社長が生まれるという道筋を、しっかりと作っていかなければならない、と。ここで自分が失敗をしたらいけない、と。時津から代表が変わった瞬間ジチタイワークスがこけた、成長しなくなった、というような実績を残してしまうと、その後の時津の意思決定として、「自分がやっておかないといけないよね」となるのは本当に嫌だと思ったので、本当に、その最初の1期に関しては、何が何でも結果を出さなければならないという思いがありました。

大島:ありがとうございます。今のを受けて松本さんどうですか。

松本:森さんという存在のおかげで子会社社長をイメージしやすくなった、ということはあると思います。
ただ、私が入社した時から森さんは取締役だったので、少しおこがましい話ではありますが、私が純粋に社員から子会社社長になった立場として、下の子たちに逆に私が伝えていければと思っています。

大島:確かにそういう意味だと、実質的な1号は松本さんなのかもしれないですね。
ありがとうございます。

Q2 「カルチャーとリーダーシップ:自分なりの経営スタイル」経営をするうえでどんなスタイルを大切にしていますか

大島:パネル2個目は、「カルチャーとリーダーシップ:自分なりの経営スタイル」としています。カルチャーとかリーダーシップという言葉に捉われずとも、各々どういった経営スタイルを大事にしているかということを聞いてみたいと思います。
松本さん、お願いします。
松本:まだ20名規模くらいの組織ですが、後ろから指示を出すボスではなく、自分が先頭を走って組織を引っ張っていくリーダーであり続ける、というところは、今もこれからも大事にしたいと思っています。規模が大きくなっても、やはりずっと現場主義というか、先頭に立って、みんなを引っ張っていきたいと感じています。

大島:それは社長という立場ではなくとも、レベニュー事業部の部長という立場であっても変わっていない?

松本:変わらないですね。

大島:ありがとうございます。では、森さんお願いします。

森:1つは、松本さんが今言ったことと同じで、指揮官的な戦い方が得意ではないので、どちらかというと前に出て引っ張るリーダーシップが得意だと思っています。
それと、私自身は得意不得意のところと、興味関心のところがやや極端なところがあるので、やはり苦手なところや、自分が興味の湧かないところをどのように組織のマネジメントで解決するかを意識して組織を作っている気がします。
具体的に言うと、今私の周りに飛車・角のような駒がいて、角が守りの駒だとすると、この守りの駒がとてもよく機能するので、私は好きなところに攻めることができると、そのような体制を作ることが、自分自身のパフォーマンスにも、組織のパフォーマンスにも繋がると思っています。これが私の経営スタイルなのかもしれません。

大島:なるほど、今飛車と角がいて、金・銀や香車をそろえていきたい、という感じですかね。
松本さんの組織では、いまの飛車・角、今後の組織はどういう風に考えてますか。

松本:そういう(守りの)部分が、うちの組織の弱いところでもあるので、勢い「何かをこのやり方でやる」となった時の、爆発力的なところは強いと自負していますが、守りの部分であるとか、新しいことを始めるときにそこを担える人材が、私も含めて、ちょっと足りない部分だなと感じています。

大島:なるほど、既にそれを認識されていて、今後どうやって手当していこうかという脳みそはあるということですね。ありがとうございます。

Q3 「各々の組織の強みと弱みは」

大島:では次のパネルに行きたいと思います。
まさにその「組織」なんですけども、それぞれ組織の強み弱みについて、端的に伝えていただきたいと思います。

森:端的に言えば「多様性」かなと思っています。強みと弱みについて、と言われるとちょっと難しくて、表裏一体のところがあると思うのですが、この多様性を持って組織の採用や体制をつくってきたというのが、ジチタイワークスにおける強みでもあり弱みでもあるのかもしれません。強みについては、ある程度多様化された組織だからこそ、ステークホルダー全てに対して価値を届けていく、という企業としての文化があります。
反対にその弱点というところでは、多様化しているが故に、ベクトルを一点に集中させるというところに関しては、やはり色々な工夫が必要だと思っています。
つまり、多様性というものが強みでもあり弱みでもあるので、その弱みをなるべく消しつつ強みを発揮できるようにしていくのが良いのではないかと考えています。

大島:非常によく分かりました。その多様性という面で一番体現しているのが、私の目線でいうとジチタイワークスなんだろうなと思っていて、それはきっと松本さんにとっても、我々コーポレートサイドにとっても、会社全体としても、素晴らしい手本になり得るんじゃないかなと思って見ていたので、なるほど、そういう弱みとしての面もあるのだなと、今聞いて思いました。
松本さんは、いかがですか。

松本:先ほどの話と被りますが、強みというのは、先ほど「爆発力」と言いましたが、何かこれをやるというのが明確になったときに、組織全体でそこに進むときの力ですね。
弱みは、大きな変化が生じたときや新しいことを始めるときに、そのブレイン的な部分がまだ組織として十分ではないと感じています。つまり、若さや経験の不足といったところが課題だと思います。

大島:若さは爆発力につながるものなのかなと感じたんですけど。

松本:その点では、若さは強みになるのかもしれません。逆に、変化に対応する力という意味では若さは弱みになることもあるので、両方の側面があるといえますね。

大島:なるほど。その「爆発力」については、事業部の長になったときから意識していたんですか。

松本:私は入社してからずっと営業だったので、とくにそういう攻めの力みたいなものは、以前から得意だという認識があります。

大島:ありがとうございます。

Q4 「難しい意思決定、どうしている?/どうしていきたい?

大島:「難しい意思決定、どうしてますか」これはそのまま率直に伺います。
今まで経験上、難しい意思決定の場面というのがあったと思いますが、そのときに、どういうスタンスで、何を軸に決めてきたのか、決めるときに重視していることなどをお聞かせいただければと思います。
では、松本さんから。

松本:まず、そもそもなぜ決める必要があるのかという目的感を明確にして、決めるにあたっての情報が足りているのかを確認します。最後、決めるときは正直わからない部分もあるので、長である自分がちゃんと覚悟をもって決める。決めたからには悩まず実行することだけを考える、ということを大事にしています。

大島:昔と変わりましたか。

松本:いや、そんなに変わらないんですけど、昔は経験がたりず、勢いで決める部分もあったかと思いますが、今はそれなりの経験をさせてもらい、ある程度意思決定のプロセスを言語化できて、やれているのかなと思います。

大島:森さんはどうですか。

森:私は(意思決定を)あまり難しいと思ったことがなくて。私のところに上がってくるものは、大体50%ぐらいメリットとデメリットがあるので、どちらを選ぶかという感じになることが多いです。
意思決定している最大の要因というところでは、ジチワクで「ポジティブサム」ということを掲げていて、これは「ゼロサム」の対義語で「登場人物全員の幸せの総和を上げていきましょう」みたいな概念なんですが、その概念に則って、登場人物、ステークホルダーの幸せの総和が1番大きくなる選択肢はどれかを考えながら意思決定しています。
そして、その後は松本さんと一緒ですが、結局50対50でメリットもあればデメリットもあるので、どちらを選んでも、選んだ方をどうやって正解にするかという点に、その後のリソースを置いた方が、はるかに生産性が高いだろうなと思っていて、基本的にそのような観点で意思決定しています。

大島:なるほど。私も参考にしていきたいと思います。

Q5 「中期経営計画での各々の位置づけに対して」

大島:では、次に行きます。中計の位置付けについては、ホープグループの中ではジチタイワークスは「花形事業」と位置付けています。
一方で、企業側のふるさと納税の事業は、「問題児」から「花形」への移り変わりの中にあるフェーズです。それぞれのステージを踏まえて、その期待をどのように受け止めているかを聞きたいです。
外部からの期待だったり、組織のみんなからの期待、それを長としてどのように受け止めているかなど教えてください。森さんから。

森:凄く光栄だと思いながら受け止めています。そうした外部からの期待について、もう少し詳しく話すと、ジチタイワークスってその粗利成長で130%は超えようというスタンスで、事業を成長させています。
粗利のところにベンチマークを置いているのは、基本的にジチタイワークスは、自分たちで稼ぎながら自分たちに投資していくというスタンスなので、やはり粗利のところにボリュームがないと、そこからのその他経費、販管費を回すということができないという考え方を持っているので、粗利をしっかり伸ばしていく、と。
130%成長というのをやっている本人たちからすると、なかなか大変なんですが、世の中の上場企業の中には平気で200%成長するところもあるんですよね、そういった企業と比べると、ちょっと精神的にしんどくなる。
ただ、130%成長を3年続けている企業、となるとこれは本当に数がとても少なくなるので、これをやろう、と。そういうバランスで今頑張っています。

大島:松本さん。

松本:もうここに書いてある通り、花形事業に本当に行くかどうかというのが、今年が最初の一歩というか、試されている年だと認識しているので、これを受けての期待というか、そういう責任はひしひしと感じています。
なので、この先にはやはり、自分たちで稼いで自分たちに投資するというのが、私が描いている理想的な形ではあるので、そこに向けて、まずは今期来期をちゃんと堅実に結果を残していこうと今頑張っています。

大島:ちなみに、今の企業版ふるさと納税マーケットを見ると、毎年8月ぐらいに国が発表していて、もうすぐその時期ですね。毎年100億ずつぐらい伸びているじゃないですか。それに対してどう思いますか。

松本:具体的に数字を出すと、大体うちの占有率は10%以下とか、それぐらいになるんですが、(マーケット全体の成長をみると)去年が470億で、今年が多分500億、もしくは600億ぐらいいくだろうと感じています。せめてそこの成長率以上は超えていかないといけないなと、ずっと思っています。圧倒的にナンバーワンになるために。

Q6 「グループの未来」

大島:最後のパネルにいきたいと思います。「グループの未来」最後に、未来の話をしましょう、と。
その中でのジチタイワークス、企業版ふるさと納税事業ということなんですけど、10年後、20年後、グループとしてどんな姿を描いているか、それぞれの事業の将来像というのを、ぜひ自身の思いも含めて聞かせていただければ、と思います。
松本さん、お願いします。

松本:まず10年後、20年後なので、1番は健康な状態で働いている状態を保つことが前提となります。あとは企業版ふるさと納税の制度が続いている前提での話になりますが、まず企業側ふるさと納税の領域においては、圧倒的ナンバーワン、これは10年後とは言わず、なっているだろうと思っています。
そして、ジチタイリンクはいまは企業版ふるさと納税事業しかやっていませんが、「リンク」という会社名を付けたときに、「繋ぐ」という思いを込めているので、「自治体」と「企業」だけでなく、たとえば「地域」と「企業」なども繋ぐようなことをできていたらいいなと、今はボヤっとしていますが、考えています。

大島:ありがとうございます。では最後に森さん。

森:ジチタイワークスは、公務員プラットフォーム構想というものを掲げておりますので、それを高次元で実現させるという未来を作りたいと思っています。
僕はエムスリーという会社が大好きなんですけど、エムスリーさんは国内で94%の医師の会員登録があるらしいんですよね。ジチタイワークスでも20年後、そういう未来が作れたら、このマーケットの中で圧倒的なナンバーワンカンパニーになるだろうと思っています。
それを実現させるには順番があると思っていて、会員というのは、イコール、ファンだと思うんですよね。
なので、まずは自分たちが自治体や公務員のDBをつくっていく。そのデータを以てその人たちにファンになってもらえるような取り組みをしっかりとつくっていく、と。こういう順番で公務員プラットフォーム構想をしっかりと実現させることができれば、グループに対しても大きな価値提供をできていると言えるんだろうと思っています。

大島:その準備を粛々と行っているというところですね。ありがとうございます。
今回の対談について、拙いモデレートで恐縮ですが、ご清聴いただきまして、ありがとうございました。