<株主総会対談第1弾> ホープにおける新規事業の話(代表×エネルギー事業部長)

インタビュー

左より
代表取締役社長兼CEO 時津孝康
エネルギー事業部長     神田圭史

 

2019年9月26日(木)にグランドハイアット福岡にて「第26回定時株主総会」を開催いたしました。株主総会後に第2部と称して、当社代表取締役社長兼CEO時津孝康、エネルギー事業部長神田圭史の対談を行いました。

 


 

時津:投資家の方々とお会いすると「エネルギー事業はどうなっているのか」「なぜあなた達がエネルギー事業をやっているのか」という質問を多くいただきます。エネルギー事業は、事業部長の神田が事業開発課にいた当時、「ぜひこれはホープでやるべき事業ではないか」と提案してくれ、一生懸命育てた事業です。

今回、「ホープにおける新規事業の話」ということで、エネルギー事業の話はもちろん、我々のようなベンチャー企業がどういう経緯で事業を創造してきたか、またその過程でぶち当たる壁にはどういうものがあるのか、ぜひ株主の皆様にも知って頂きたいと思い、今回対談の場を設けました。最後までお付き合いいただければと思います。

 

 

―自己紹介をお願いします。

神田:エネルギー事業部の部長をやっております、神田と申します。2013年に新卒でホープに入社しまして、今7年目になります。3年間広告事業で民間企業へ自治体広告の提案営業を行い、その後2年間は新規事業の開発、ここ2年間はエネルギー事業を見ております。

 

時津:趣味は?

 

神田:野球とゴルフと筋トレです。筋トレ頑張っています!

 

 

―新規事業の苦労は?

時津:ベンチャー企業が伸びていくタイミングにおいて、「組織開発の壁」や「資金繰りの壁」、「新規事業創造の壁」って絶対にぶち当たるんですよね。私が経営者を10数年やってきて、一番難しくて、でもこれは絶対に創業者がやらないといけない、と感じるものが「新規事業創造の壁」なのですが、新規事業の苦労はどういったものがありましたか?

 

神田:よく言われることだと思うのですが、0から1を作ることにはパワーも頭も必要になるので、振り返ってみると「大変だったなぁ」と思います。

 

時津:具体的にはどういったものが大変だった?

 

神田:ホープの良いところや強みは沢山ありますが、新規事業において、会社のリソースやアセットを全部使えるわけではなかったことは大変でした。そのような環境の中でやりくりしながら会社の収益の柱になるような新たなサービスをつくるということは非常に難しかったです。

 

時津:会社からすると、新規事業チームはひたすら金食い虫という立場になるわけじゃないですか。私の給料も、広告事業など他の部署が稼いできた利益から出してもらっている形になっていたと思うが、その時の心理状態ってどうだった?

 

神田:心理状態は、あまり良くはなかったです。僕も広告営業時代は結構売上を立てていたので、新規事業チームになって、広告営業時代にはあった「売上」とか「利益」が全部僕から無くなった時は“自分を守るもの”が無いという感じがして、苦しい時でした。

 

時津:なるほど。心理状態としては「食べさせて貰っている」という状態だったということですね。その状態はあまり良くなかったと。

 

神田:そうですね。

 

 

―なぜエネルギー事業に着目したのか?

時津:そもそもなぜエネルギー事業に着目したの?最初は神田が「こういう事やりたいんですけど」と持ってきた。私はだいたい「良いんじゃない」としか言わないので、そこから事業が始まったわけですが、なぜそこに着目したのか聞きたいですね。

神田:事業開発課時代に、別の形で「電力事業関連のアライアンスを組みませんか」というお話が来ていて、そのお話自体は実を結ばなかったのですが、その時に「電気を売る」ことに着目しました。電気って意外と簡単に誰でも売れる制度になっている事に気づき、「うちでも出来るんじゃないかな」と思ったことと、当時課せられていたのはトップラインを伸ばせる事業創造で、売上を立てることが第一だったので、市場規模が15兆円あればいけるのではないかなと思いました。

 

時津:マーケットの大きさから見て、我々が掲げたビジョンの「売上高100億円」を目指せることが見込まれたからということですね。

 

神田:そういうことです。

 

時津:なるほど、分かりました。

 

 

―エネルギー事業の今後について

時津:今後、売上や利益は伸びるか、ちゃんとやっていけるのか?という事が気になります。

 

神田:売上や供給規模を伸ばすことに関しては、そんなに難しくはないと思っています。売上高に関しては、今後2~3年は伸びていくと思います。

 

時津:利益はどうでしょうか。

 

神田:利益も出るだろう、と思っています。確定的な事は言えません。

 

時津:まあそうですよね。ただ、法律も頻繁に変わるし、国の方針がダイレクトに影響がある事業だと思っていますが、今後、最大のリスクになるなと感じている部分はどこなの?

 

神田:最大のリスクはやはり法令が毎年変わっていくところですが、“小売りがやりにくい状況”にならなければいきなり大打撃は受けないだろうと思っています。

 

時津:エネルギー事業部に人員をもっと配置した方が事業は伸びるのではないかという話もありますが、それはどうですか。

 

神田:結論、そんなに人員数は必要ないと考えています。当社の競争力の一つがローコストオペレーションで、そこを支えているのが販管費の低さです。売上20~30億で、もっと人員を抱えている新電力はいくつもあると聞いてますが、この人数で100億近く作れるのであれば、それが強みになると思います。

 

時津:今期、対外的に約93億の売上高予算を出していますが、未達とかって無いですよね。

 

神田:まあまあまあ、大丈夫ですよ。余裕で達成できるのではないかと思っています。(笑)

 

時津:だそうです。

 

会場:(笑)

 

 

―ホープの成長のために必要なものは?

時津:先月の社員総会で、創業以来初の「社長賞」を貰って、会社から77万円を賞金として貰ったわけじゃないですか。うちが更に「自治体向けサービス会社」として成長していくために必要なものって、神田からみた景色でどういうものがあるのかな。

 

神田:いくつかあるとは思いますが、サービスの種類はもっと増やさないといけないと思います。広告屋でもなく電気屋でもなく、もっと“総合サービス業”たる多様なサービスや事業を沢山作る必要があると思います。それと併せて、事業開発系のことを「やれる人」「やりたい人」「作れる人」がいることも大事だと思います。

 

時津:事業を自分で「作りたいです」と言ってくれる人材ですね。今期は、全事業をしっかり黒字化して、利益をしっかり出していくぞというフェーズで、恐らく来期以降は新事業開発チームを私のところに作ると思うので、そこで自ら手を挙げてくれるような人が必要ということですね。

 

神田:自分でやりたいと思う人やその能力がある人は重要だと思います。うちの会社の風土や雰囲気として、“成長”というキーワードを掲げつつ「成長を与えられるのを待っている人」が多い気がするので。

 

時津:成長を与えられるのを待っているとは?

神田:成長する「機会」が来るのを待っているとでも言うのでしょうか。「チャンスは自分から掴めば良い」と僕は思っていますが、ずっと待っている人ばかりいるように感じます。

チャンスを掴む事は難しいですけど、会社は学校ではないので、自分で成長していかないといけない。そのきっかけとして、新規事業をやるのも良いですし、今はジョブローテーション(*)という機会もあるので、自分で働く場所を選ぶ事も出来るわけです。その中で、自分から動かない人って結構いるように見えます。そういう所から変わっていくべきかなと思います。

 

時津:いつの間にか社員数が200人手前になって、ザ・サラリーマンみたいな人も増えてきたのは事実かもしれないですね。

 

神田:それと会社の雰囲気として「失敗できない」というプレッシャーもあると思います。

 

時津:そうなんだ。

 

神田:一回失敗してしまうと、もう戻ってこられないというか、何かやる時は片道切符みたいな。僕としてはそう感じています。チャレンジする人を、結果がダメでも、元の部署でも別の部署でも迎えてあげる空気感が出れば良いかなと思います。

 

時津:それは私の責任もあるかもしれないですね。

時津:神田は、7年目になりますが、最初に入ってきたときは、右も左も分からない状態でした。広告事業で数年間営業をやってくれて、チームリーダーまで上がって、色んなトラブルも起こしましたけど、それなりに信用残高を溜めて、新規事業開発をやりたいと手を挙げてくれて、こうして2年かけてやっと事業を作ってくれました。これをM&Aではなく、オーガニックに自社で作れたっていうのが、私はとても嬉しいです。意外と私が思い付きで始めた事業はうまくいかなかったりするんですよね。社員がしっかりプランを練りこんで、テストマーケをして、市場規模を分析して、事業として形になっていった。こういうのが自社の中から生まれてきたっていうのが、私は経営者としてとても誇らしいことだなと思います。

(*)ジョブローテーションとは、社員自らが希望部署へ異動希望を出すことのできる社内制度のこと。

 

 

株主様からいただきました質問事項を一部抜粋してご紹介いたします。

Q:エネルギー事業の優位性は、参入障壁と安い価格で提供できるということの2点だと思いますが、先日SBI証券のオンラインセミナーで放送されていた内容で「基本的に入札には大手電力会社が毎回参加している」と伺いました。大手電力会社に入札で勝つためには参入障壁は通用せず、安い価格で電力を供給するという部分での勝負になるかと思いますが、そこで大手電力会社との価格競争になる可能性と、そうなった時にも、きちんと利益を出していけるのかということを伺いたいです。

 

神田:実は、色々なエリアで大手電力会社さんには負けています。正直勝率が10%程度あれば良い方で、90%程度は負けてしまっています。価格競争が起こる可能性というよりは、もうすでに起きていて、最近はずっと勝つことができていない大手電力会社さんもあります。

個別の案件において、価格競争がさらに激化した場合に利益が出せなくなる可能性は無いとは言えませんが、大手電力会社さんであれば、会社の規模が大きいため原価以外のコストも多く、ある程度の限界ラインは引いているように感じます。当社は販管費が相当低いオペレーションで運営しているので、その点では価格勝負できると考えています。今後エネルギー事業のみで5,000~6,000億売上を立てるとなると厳しいと思いますが、今の会社の規模で100~300億の売上を立てることに関しては、出来ないことは無いと思います。

 

Q:ホープさんは発電所を所持されているわけではないと思うのですが、電源はどのように調達し、販売されているのでしょうか。

 

神田:発電所は持っていないので、自前の電源というのは無いですが、電源をもっているパートナー企業さんたちから購入したり、そこだけでは100%賄うことはできないので、日本卸電力取引所(JEPX)から一定数の電源を調達しております。電源調達の比率に関しては公開しておりません。相対電源、市場調達などで問題なく供給はできています。

 

Q:今度、電力の先物取引が開始されるとのことですが、今後事業に関係してくるものなのでしょうか。

 

時津:おっしゃる通り、新しく電力先物市場ができたのは事実でその市場について研究したい、ということで来月よりチームを作り、始動する予定です。どんどん取り巻く環境が変わっていくので、そこの変化に適応できるかどうかということはとても大事なことかなと今は思っています。

 

Q:エネルギー事業において、「受注」と「売上」はどんな構造になっているのでしょうか。

 

神田:例えば、今月(9月)入札で受注が決まれば、だいたい12月~1月から供給開始となります。電気代なので使用した月に売上が立つというのが計上の方法です。受注の段階では売上の総額を見込みで立てておりますが、凡そ2ヶ月後から実績に応じて確定の数字を売上として計上していくという流れになります。

 

時津:基本、電力を消費した月に売上を計上していくという考え方ですね。たとえば、受注の段階で既に73億と出していても73億の売上が一気に計上されるわけではなく、月毎にならして計上するという考え方です。

 

Q:自治体で廃校になった学校跡地などを安い価格で販売していたりすると思うのですが、そのような場所を使用して、自治体の自家発電をコンサルティングしたり、そこで余った電源を買い取ったりというような、電力を仕入れる以外の展開は考えていますか。あと、大した話じゃないのですが、これだけの事業を作って、社長賞で77万円というのは、少ないと感じていますか、多いと感じていますか。

 

神田:1点目に関しては、今後ある程度は電力小売りだけで伸びていくと思いますが、そこだけでやっていこうとは考えていません。ちょうど今、新たにエネルギー関連のサービスを作ろうという動きを行っております。この事業部の管掌役員である時津と事業部長である僕は、2人とも事業開発の立ち上げをやったことがある人間なので、そのノウハウも活かしながら、部署内で新規事業チームをつくって、新しいことをやれないかなと考えている最中です。来期、再来期くらいには、新たに何かサービスが出てくる可能性もあるのではないかと考えております。

2点目の社長賞77万に関してですが、結局、税金を引かれたので、77万円全額は入っていないのが正直なところです。どうですかね、多かったですか?

 

時津:さすがにその額は非課税にならなくて、課税所得になりましたね。今まで10回くらい社員総会を開催しているんですけど、「社長賞」は毎回「いない、いない、いない」ということで一回も出なかったんですよね。今回、初めての「社長賞」なので、内部で金額含めかなり検討しました。予算の兼ね合いもあり、ゴロがいいので“77”で良いんじゃない?ということでこの金額になりました。

 


 

株主総会対談第1弾では、今期当社の「成長エンジン」であるエネルギー事業の立上げに関わった2人が、新規事業立上げや今後のエネルギー事業等についてお話させていただきました。近日、株主総会対談第2弾として、当社代表時津×社外取締役の対談を公開予定になります。