<第31回定時株主総会>質疑応答
インタビュー2024年6月27日(木)に公益財団法人アクロス福岡 円形ホールにて「第31回定時株主総会」を開催いたしました。当日の質疑応答の内容に関しまして、その様子をレポートいたします。
なお質問につきましては株主さまのお名前は伏せて表記をし、回答に関しましては、代表取締役社長兼CEO 時津孝康が答えており、以下「時津」と表記しております。
※質疑応答に関しては、会場と事前質問(オンライン)の両方で受付を行いました。内容につきましては、ご理解いただきやすいよう一部に加筆・修正をしている箇所がございます。
■事前質問・ご意見(オンライン)
オンラインご意見①:結果を出すように
時津:今結果を出すことを求められていると思っておりますので、オオカミ少年にならないようにしっかり結果を出したいと思っております。
オンラインご質問②:以前、三菱商事株式会社との事業上の協業についてIRがあったと思いますが、協業については順調に進んでおりますでしょうか。
時津:ドライな言い方をすると、細かい進捗は開示できる状態ではございません。ただし、定期的なコミュニケーションは取っておりますので、開示ができる状況になりましたら、投資家の皆様に1日でも早く開示していきたいと思っております。いい場合も悪い場合も、どのような状況においたとしても、開示をしないといけない状況になりましたら、即時開示をしていきたいと一貫して申し上げております。
オンラインご質問③:今回、自社株買いをされるという事ですが、なぜ今のタイミングなのでしょうか?財務の健全化や、より高い成長に資金を投じるべきではないのでしょうか?
また、取得された株式は消却される予定なのでしょうか?
時津:この3年ちょっとを振り返ると、我々は生き残るために1,000万株近く新株を発行しております。そのような対応をしないといけない状態に追い込まれたのでそのようなファイナンスをしたという経緯があります。ただし、我々はチェンジグループに入ることによって、債務超過を脱して、ある種財務の健全化をし、80億円の債務超過から抜け出しました。あわせて単年度のP/Lではありますが、1億8千万円、翌年度は2億2千万円の営業利益を出して、順調に事業が育ってきて利益が出せる状態になっています。
なので、株主還元の意味も込めてこのタイミングで自社株買いを行っております。
ただし、19年ほど経営をしておりますが、必ずどこかのタイミングでチャンスは来る、勝負をしないといけないタイミングが来ると思っておりますので、もしそのタイミングがこの数年の中で訪れた場合は、我々としては手をこまぬいているのではなく、ちゃんと取締役会に諮り、そのチャンスというのは取っていきたいと思っております。
基本は健全な成長を刻んでいくことなので、自己資本比率が財務方針で定めた水準を大きく超えるような場合は、自社株買いに充てていくというのが今回の経緯になります。
消却に関しましては、現状、決まっていることはございません。開示できる状況になりましたら、開示させていただきます。
オンラインご意見④:株価が下がったままです。なんとかしてください。
時津:株価はついている価格がフェアバリューだと思っておりますので、我々は業績でお返ししていきたいと考えております。
オンラインご意見⑤:利益が出ないので、株主還元できないのではなく、何か今の株主に保有できる株主への対応に努めてもらいたいです。自社株買い、とても良いと思います。
時津:ありがとうございます。目先ではなく中長期的にしっかり考えて正しい経営や株主還元を引き続き模索していきたいと考えております。
オンラインご質問⑥:(3つのご質問をいただいています)
1.三菱商事の件の質問です。
これまで年4回の決算説明動画で、株主からの質問もなければ、社長からの自発的な状況説明すら1度もありませんでした。
株主は静かに見守っているのかもしれません。社長の心情的なものを教えてください。
時津:開示できる状況になれば我々はどのような状況においても開示するのが会社としての基本姿勢です。できる状態になったら開示していきます。
三菱商事社との心情的なものとなると、世の中に必要とされるプロダクトやサービスで何か、アライアンスという形になれば、できてくるだろうと思っております。世の中に必要とされないものであれば、できないだろうと思っておりますので、我々だけが利益を上げたいというよりも、先方と議論するにおいては、我々と先方が組むことで世の中に必要なサービスやプロダクトを作れるのかどうか、組むことに意味があるのかどうかという本質的な議論をしているつもりですので、そのような心情で取り組んでおります。
2.「営業利益10億、時価総額450億」の回復目標を掲げていますが三菱商事の件が存在しなかったとしても、目標達成のビジョンや戦略はあるのでしょうか?
時津:これは中計で約束したものではなくて、私の経営者の思いとして動画で言及したことを抽出されているのかと思います。私が過去最高に作った営業利益は10億円です。時価総額はこのとおり、約450億円です。私は今43歳なので、私のピークが約3年前の電気で作ったこの営業利益と時価総額で終わるというのは、私としては全く持って納得がいってない、というのが動画の中で説明をしたものです。
ですので、思いとしては、あと何年経営ができるかわかりませんが、これを超えていきたいという思いがあります。じゃあそこに具体があるのか、どの事業で、どう利益を作って、450億円の時価総額を超えるということは、20数億円の営業利益を出さないと超えてこないんです。なぜかというと当時、10億円の予算を作って予算上で23億円の営業利益を開示してそれをマーケットが織り込んで4百数十億に上がっていきましたので、同じロジックで行くと、20数億円の営業利益を出さないと、この数字まではいかないと考えております。じゃあそれが見えているのかというと、現状としましては見えておりません。
3.企業版ふるさと納税の質問です。
同業他社もそうですが、あまり本腰でやっている印象や「トップを目指す躍動感」を感じません。国の政策など新たな後押しが必要であったり待っている状況なのでしょうか?
貴重な株主総会でこのような初歩的な質問をさせていただきましたが、会社から具体的な説明がなされていないことを反映しているのだと思いました。
時津:対外的に本腰が入っていないと見えるのは申し訳なく、我々の開示の問題があるかなと思います。ただマーケット規模としては400億円くらいの企業版ふるさと納税の中でプレーヤーが3~5社いる中で、我々の自治体との協定件数が今200後半なので、おそらく今期No.1になれるだろうと思っており、会社としては非常に注力している事業です。なので、今後は積極的に表に出していきたいと思っております。
ただ、昨今個人版ふるさと納税の方で、ポイントの還元がダメだと言われているように、国の方針で大きく動いていくことに影響される事業になりますので、国の動き、「これはダメだ」と言われることについては絶対にやらないような形で事業を伸ばしていきたいと考えております。
オンラインご質問⑦:株式買取期間が1年と長い期間となっていますが、なぜですか?その他株価改善策は、考えていますか?
時津:我々の流動性を見ておりますと、1日数百万から数千万円なので、2億6千万円をマーケットで買うとなると、リスクを考えると1年くらいあった方がよいというのが取締役会の判断でございます。
少し長めではありますが、流動性の観点から1年間と設定させていただきました。
■会場でのご質問
時津:以上、事前にオンラインでいただいた質問に回答させていただきました。続きまして会場の皆様からのご質問をお受けいたします。
個人株主さま①: 先ほどの時津社長のご説明の中で、「売上高は気にしてない、粗利が重要」、グロース市場に上場している中でいろんな株主還元を考えないといけない、というお話しでした。また中計を考える中では、森COOなどから上がってきた数字で達成できる中計を策定していると。
おっしゃる通りだと思いますが、投資家からするとオーガニックで市場の成長に合わせて中計が示されているというのは、かなり保守的な中計になっているのではと思います。リーダーシップを発揮して新たな事業をやっていくというような、時津社長らしい説明が聞きたかったなということもあります。
営業利益10億が過去最高という話がありましたが、今毎日経営されている中で、「こういった事業が出てくれば勝負に出たい」だとか、「こういう国の施策の中で、自分たちの強みが活かせるのではないか」と思うことがもしあれば、ご説明いただければと思います。
時津:ご質問いただきありがとうございます。投資家の方からするとそのように見えているのだなと再認識しております。あれだけの痛手を負ったということもあり、丁寧に経営をしているという自覚があります。私も多動なところがあるので、すぐ「こんなのどうかな」とか「出資したいよね」「こんなのやりたいよね」ということがずっとあります。
それをいかに抑え込むか、どうコントロールするか、というのが今私が取らないといけない経営者としての判断なのではないかというのが、基本前提にやっぱりあります。
(会社が)死ぬかもしれない、潰れるかもしれない、この事業や雇用を守れないかもしれない、というあの恐怖心が脳のどこかにあるのだろう、というのが正直な回答になります。
なのでそれを必死に抑え込みながら経営をしております。おっしゃるとおり幸いなことに、森を含めて優秀な人間が育ってきておりますので、この4.4億円までは一旦任せたい、頼みますよ、というのが現状かなと思っております。
最後のところで、こういうチャンスがある、こういうことをやっていきたい、というのは毎日のように考えます。ただ、我々は自治体の横に寄り添っている会社になりますし、広告から始まって営業力しか持っていなかった我々が、ジチタイワークスが伸びることによって編集であったり、Webの力だったり、マーケティングの力だったり様々な我々の競争優位性や力というのは、どんどん、コアコンピタンスは広がっている感覚です。
こういったものを一旦整理したら、どこかで勝負に出たいとは思っておりますが、今この時点で「こういうことがあったら突っ込んでいきたい」ということは思っていないです。 絶対に自治体のマーケットは変化がないと沈んでいくし、地方は切り捨てられると思っておりますので、必ずチャンスは来ると思っております。
今日福留社長がいらっしゃっていますが、ふるさと納税市場も興るべくして興っているマーケットだと思っておりますので、その機会は必ず来るだろうと思っています。その時にちゃんとお金を持っていること、ちゃんと心がフラットな状態でいること、そのタイミングで人材がいることが大切なのかなと思っています。今はグッと堪えて、耐えて待っているというのが正直なところです。
かといって仕事をしていないわけではないんですけれども、昔に比べるとずいぶんゆっくりと仕事はさせてもらっています。幸い人が育っている状況なので、非常にいい状況の組織を作れていると思っています。
素敵なご質問、ありがとうございました。