上場して3年をIPO的視点で振り返る

代表ブログ

2016年6月15日に東証マザーズ・福証Q-Boardへ上場
時は流れ平成から令和元年になり、上場して約3年が経ちました。

上場後から現在までを項目別に振り返りました。

P/Lについて
2016年6月期     売上高 1,592百万円 経常利益 146百万円

2019年6月期(予想) 売上高 3,862百万円 経常利益 96百万円

 

従業員について
2016年6月期 93名

2019年6月期 192名

 

時価総額について 
公開価格       1,400円/時価総額約19億

上場時高値      3,320円/時価総額約45億円
2019年5月20日時点  965円/時価総額約13億円  (このブログの書き出しが5/20のため)

気付いたらマザーズ市場の中で下から2番目の時価総額。
スモールIPOの代名詞になってしまいました。

結論から言うと、この時価総額で推移するのであれば正直IPOした意味は皆無です。
時価総額は利益に紐づいているので、当たり前ですけど利益を出せない会社は株価・時価総額は上がりません。
また社長同士の集まりなどがあると、どうしても時価総額を比較してしまい負い目、引け目を感じてしまうのも事実です。
これは性格の問題があるとは思いますが、「で時価総額いくら?利益出せてるの?社会にちゃんと貢献出来てる?」という自問からきていると思います。

 

IPO維持コストについて 
当社のような小さな会社でも、年間約3,500万~4,000万円かかります。(監査法人、信託銀行等)基本的には下がる事は無くなだらかに上がり続けます。

 

資金繰りについて
一番苦しいのが資金面でした。

上場後も銀行からの借り入れを一部行っていました。

その中で赤字会社になり、上半期、下半期で各銀行に個別決算説明にまわっていました。

「〇〇社の創業期に貸したのは当行であり、自信をもってバックアップするので」と言って上場直後にお会いさせて頂いた銀行が「この業績だと貸せません。当座貸越の枠は閉めさせて貰います。」と言われたのは一番の驚きでした。地方において上場後に銀行からの借り入れが簡単に出来ると言うのは事実とは異なります。

あくまでも利益、計画、経営者を見て判断するんだと思います。

 

採用について
前々期は約90名近い採用を行いました。

IPOの恩恵は、中途採用では大きかったと思います。
「ホープでチャレンジしたい」とこの指止まれで多くの中途が入社してくれました。
戦略にもよりますが中途採用においては、福岡・IPOはメリット大きかったです。

一方で新卒採用については無風でした。
このレベルの会社だと新卒市場においては全く影響は無かったです。

 

IRについて
年に2回の決算報告を東京で行っていました。

アナリストや機関投資家の方々が来る事も殆ど無かったです。
業績が苦しい中であり下方修正、赤字と言う事で殆ど目線を切っていたと言うほうが正しいと思います。

 

M&Aについて
当社は基本的に、事業は自分たちで作るフェーズでしたので殆どご提案の情報は入ってこなかったです。年に数件、自治体絡みの印刷会社・システム会社のM&A案件が上がってくる程度でした。

逆に当社に対する買収提案については数件貰いました。
資本主義、上場するってこういう事なのねと学びになりました。

 

組織について
ここは相当な歪と痛みを伴いました。

中途採用で前々期56名、この売り手市場で採用するとどうしても年収を高くとりすぎてしまい、社内の新卒や少し前に入社しているメンバーからの不満は凄かったです。
また、機能別組織でひたすらに拡大を行ってきてそれらの限界を迎えたのも前期でした。
仕入が目指すべき姿、セールスサイドが目指すべき姿が完全にずれてしまいました。
理念にも掲げる、会社及び従業員の成長を追求すると矛盾した設計になっていました。

 

改めて「仕事」って「戦」だと思います。

喰うか食われるか、勝つか負けるか。

この3年で経験した事は経営者人生の中でもピリピリするし、とても刺激的で心が砕けそうになる瞬間もありましたが、明らかに試されていると、ここで真価が問われるなと感じていました。間違った判断も沢山下しましたが、信じてついて来てくれた社員の皆に心から感謝したいです。